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SuperGT レース分析の取り組み – 2018年にむけて

公開日 2018年3月1日    最終更新日 2020年3月12日

2018年 3つのテーマで活動

前回、グランバレイが行っているレース分析で、「2017年の総括」をしました。
2018年、レース分析の抱負をまとめます。
大きく次の3つのテーマを掲げて、活動を進めていくことを考えています。
・見える化
・シミュレーション
・アナリティクス

本質的な「ラップタイムの見える化」へ

まず「見える化」ですが、
この分野はグランバレイが最も得意とする分野でもあり、昨年度もラップタイム推移や順位推移など、レース関係の雑誌でよく目にするような形で見える化を行ってきました。
もともとExcelで作られていたものも、BIツールに置き換えることで、Excelでは抱えきれないデータ量でも高速で分析し、かつセクター別やタイヤメーカー別やサーキット別などの傾向が把握しやすくなりました。

・ラップタイム推移
ラップタイム推移

・セクター別タイム推移
セクター別タイム推移

・ランク推移
ランク推移

しかしながら、レースではラップタイムというのは、多種多様の要因によってもたらされた「結果」にすぎません。
つまり、本質的なラップタイムの見える化とは、単なるラップタイムだけでなく、「なぜそのラップタイムになったのか?」その理由までを「見える化」する必要があると考えています。

今年度はラップタイムに大きな影響を与える、多種多様の要因を洗い出し、一つ一つの要因を深堀して、データの見える化を行っていく計画です。

妥当性のある意思決定を支援する「シミュレーション」

とはいえ、終わったレースの結果分析だけでは、実際のレース中で起こる瞬間的な人の判断をサポートしきれません。
そのために今シーズンからは二つ目の「シミュレーション機能」に取り組みます。
例えばこのまま走れば順位はどのように動くのか、ピット作業で何をどうすればどの程度順位にインパクトがあるのか、他車はいつピットインするのか、などリアルタイムにデータを分析することで、経験や勘に頼る必要がある部分を減らすことができると考えています。

レース中の意思決定では様々な要因を分析し、前提条件と仮説を積み重ねる必要がありますが、この部分をデータに基づく客観的な事実で固めることでより妥当性のある意思決定の支援につながるのではと考えています。

弊社が日頃から取り組んでいる企業経営を対象にしたリアルタイム分析というのは、おおよそ日次から数時間での更新頻度を意味する場合が多いですが、レースの現場は1秒よりも小さい時間を争う世界ですので、弊社としても非常にチャレンジングでワクワクしています。。

セイバーメトリクスを応用する「アナリティクス」

最後の「アナリティクス」について、
具体的にはモータースポーツ版「マネー・ボール」をイメージしています。
ご存知の方も多いかと思いますが、「マネー・ボール」とはセイバーメトリクスと呼ばれる手法で野球を統計的に分析し、時には業界で一般的と思われていたKPIを否定し、独自のKPIを導き出すことで強豪チームを作り上げた物語です。

弊社もこのプロセスをレースに当てはめ、新たなKPI導きだし勝利に貢献することを1つの目標にしています。

例えば次のグラフはとあるレースにおける、あるドライバー4名の上位10週のタイムをグラフ化したものです。
ドライバー

ここから読み取れることとして、1つ目にはタイムの速さがわかります。
しかしタイムの速さはタイヤコンディションに左右されるので、純粋な意味でのドライバーの指標にはなりません。
2つ目には、ムラのなさが読み取れます。
つまり同じパフォーマンスがどれくらい再現できているのかの指標になり、ドライバーとサーキットの相性を示す指標になるかもしれません。
このように、データをもとに様々なKPIを立てていきたいと考えています。

データ分析のプロフェッショナルだからできること

私たちは、モータースポーツのプロではありませんが、だからこそ、ある意味レースに対しての固定観念がなく、疑うことができる前提や慣例もきっと存在するはずです。
疑問に感じたすべてのことはデータをもとに検証し、何がどれくらい重要なのか明らかにすることで、「本質」に辿り着くことを目指します。
そしてその先にはAudi Team Hitotsuyama の勝利があると確信しております。

2018年、昨年蓄積した経験をもとに、「勝てるレース分析」を目指します。

ぜひとも、Audi Team Hitotsuyama を応援してください。