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入社2年目新人が学んだ「5分でわかるAnalytics 」~BI歴史編~

公開日 2019年7月8日    最終更新日 2023年4月10日

皆さま、こんにちは。
第2回目の「5分でわかるAnalytics」、今回のテーマは「BI歴史編」です。

前回は「Analytics知識編」ということで、データ分析全般のお話に加え、グランバレイが得意としているAnalytics に関する内容が中心でした。改めて前回の復習として、「Analytics」を大別すると「Business Intelligence(BI)」「Business Analytics(BA)」の二つに分かれます。「Business Intelligence(BI)」は過去の可視化を指し、「Business Analytics(BA)」は未来の可視化を指します。今回は、このうちBIの世界がどういう歴史を歩んできたかをご紹介します。

IT業界では、日々次から次へと新しい技術が生まれ、発展が続いています。BIの世界もそれは例外ではなく、現在のようなBIの概念が提唱されてから30年ほど経ちますが、その30年間の変化はめまぐるしいものでした。今後は一体どんなBIが生まれてくるのでしょうか。今の私たちには、BIの未来を良くしていける可能性があります。しかし、未来をより良くするためには、過去のことも知らなければなりません。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」というビスマルクの言葉が示すように、先人たちが何を思い、どういう未来を見据えてBI業界を作ってきたのかを一緒に考えていきましょう。

BIの誕生

BI(Business Intelligence)という言葉を最初に使ったのは誰なのでしょうか。それは、IBM研究所でリサーチャーをしていたハンズ・ピーター・ローンという方でした。彼は、企業がため込んださまざまなデータを用いて経営をよりよくすることを「BI」と呼びました。このときの「BI」は、コンピュータ内にため込まれたデータではなく、紙に書かれた情報のことを指していたようです。しかし、「データを企業経営に活かせないだろうか?」という問題意識を持ち、実際に活用する礎を築いた彼は、今では「BIの父」とまで呼ばれるようになっています。

BIの広がり

1960年代の日本では、企業の中に存在する事務作業の省力化を目的として、コンピュータによるシステム化が行われるようになりました。さらにその発展の延長に、MISが現れました。MISとは「Management Information System(経営情報システム)」の略称で、処理の過程で入力されたデータを経営判断に役立てることに目的が置かれた初めてのシステムでした。しかし、現代ほどデータベースとしての性能が良いわけではなかったので、少量のデータを記号や数値にして紙面に見せるといった程度のシステムでした。そんな中でも、当時としては「データを経営判断に役立てる」という思想そのものが真新しいもので、MISのコンセプトそのものはBIが広がっていく中で重要な意味を持っていたのでした。そして、経営管理の質を向上させるために全社的なデータベースが構築されるようになったのはこの頃です。1970年代になると、企業のデータを使用し、整理するためのツールを販売する会社が少しずつ姿を現します。このころから、徐々に現在のBIの概念に近いシステムができてきようです。

BIの定義

1988年、データをより効率的に活用するための国際会議「Multiway Data Consortium」がローマで開かれました。この会議が開かれたことで企業経営へのデータ活用の関心度が高まりました。翌年1989年、のちにガートナーグループのアナリストとなるハワード・ドレスナーがBIという言葉を以下のように定義しました。「Concepts and Methods to improve business decision making by using fact-based support systems.(事実を用いたサポートシステムによる企業の意思決定を改善するための概念と方法)」この概念は、今日に至るまでBIが何たるかを示し続けている定義になります。

BIの現在とこれから

1990年代末期になると、「西暦が1999年から2000年に変わるときにさまざまなシステムで障害が発生するのではないか」との危惧の声が大きくなりはじめました。当時多くの企業では、メインフレーム(大型汎用機)に自社開発のプログラムでシステム構築をしていました。高価だったディスク容量を少しでも減らすために、西暦を下2桁だけで記録をしていましたが、この手法が問題となりました。2000年を1900年と勘違いして誤作動するという問題が「2000年問題」です。

IBM 360 system
Photo credit: donjd2 on VisualHunt.com / CC BY
computer

自社開発のシステムを使用していた企業の多くは、この問題を契機にメーカーが提供する「パッケージ製品」の導入が加速しました。「ERP」もそのひとつです。「ERP(Enterprise Resource Planning)」とは日本語で「経営資源管理」のことです。企業の基幹システムとして導入されはじめた「ERP」が、のちにデータ活用のための基盤となっていきます。

そして2000年代に入り、IT業界は急速な発展を遂げていきます。発展のキー技術が「インターネット」です。インターネットの発達により、さまざまなネットワークを介したサービスが開発されました。特にFacebookやTwitterなど、ソーシャルメディアプラットフォームを利用する人々が急速に増加します。一方でさまざまな技術の進歩により高価だったサーバやストレージの低価格化が進み、特にストレージに関しては、大容量低価格化になったことで、企業はこれまでより多くのデータを自社にため込むことが可能になりました。企業は今まで活用できなかったレジでの購買記録や、自社ECサイトのアクセスログなどのビックデータを用いて分析することができるようになります。

CRM(顧客管理システム)やWebによるデータ活用の広がり、リスティング広告による潜在顧客の発掘など、データ分析は経営分析だけでなくマーケティングにも活用されていきます。

例えば、
・以前スマホから予約したレストランに2回目に訪れたとき、ウェイターさんが自分たちの好物をおすすめしてくれた。
・通信販売で購入した商品と関連がある商品がオススメされるようになった

これらは自分たちが残したデータを企業が活用している証拠です。

そしてBI市場は瞬く間に広がっていき、2010年にもなると、業績のよい有名な会社ほどBIツールを活用しているという状況が生まれてきました。2010年以降にもなるとBIツールを導入する企業が一般的で、データを用いた意思決定が重要視されるようになりました。最近では、人工知能とBIツールを組み合わせて活用する企業も増えてきました。

分析
このようにして、IT黎明期から着々と発展を遂げてきているBI業界でありますが、現在もまだまだ発展を続けています。昨日までの常識が明日からの非常識になるといっても過言ではないかもしれません。そんな業界だからこそ、魅力的なのではないかと私は思っています。新しい価値を生み出し続けることに、皆さんも全力を注いでみませんか?

では、今回はここまでです。

次回は、「BI種類編」です。

参照元:
Sisense Blog:「A Brief History of Business Intelligence」

https://www.sisense.com/blog/infographic-brief-history-business-intelligence/