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勝つためのレース分析

公開日 2017年3月28日    最終更新日 2020年3月12日

グランバレイは現在、「モータースポーツアナリティクス」に取り組んでいます。
その一環として、「SUPER GT」のGT300クラスに参戦するチーム「Audi Team Hitotuyama」様に協力をし、レース分析ソリューションの開発を始めています。

SUPER GTとAudi Team Hitotsuyama

現在、日本では様々なモータースポーツが行われています。
SUPER GTは2005年より開催されている自動車レースの選手権シリーズで、スーパーフォーミュラと並び国内最高峰のレースです。
Audi Team Hitotsuyama様は、アウディスポーツから支援を受け、常に上位にランクインする実力を持つレーシングチームです

モータースポーツとデータ分析

現在、国内外含めて多数のレースが開催されています。
殆どのレースは出来るだけイコールコンディションとなる様にレギュレーションが定められ、ドライバーの能力も拮抗しているため、「勝つ」ためには高度なマネジメントが必要です。
しかし、マシンのセッティング一つ取ってみても、経験と勘で行われる事が多いのが現状です。
例えば
「セッティングを変更した ⇒ ドライバーの感覚ではとても乗りやすくなった ⇒ しかしタイムは落ちた」 
これではいけません。
変更箇所と影響をデータとして定量的にとらえ、確実に成果を測定する事により無駄なく勝つ様になれると考えています。さらに分析が進めば、単体のレースだけでなく、シーズンを通じた戦略が定量的に行えるようになります。
これ、私達が普段行っているコンサルティング業務と一緒ですね。
正に「データであなたの『ミチ』をてらす」です。


SUPER GT:岡山合同テスト

今回、SUPER GT開幕に先駆けて2017年3月18日~19日に岡山国際サーキットにて開催されたSUPER GT合同テストに同行し、ピット内の現場やサーキットの雰囲気を感じながら、現状を調査してきました。
サーキットに入り、まず驚いたのは「音」。
音量、音質ともに市販車とは明らかに違う排気音がサーキット中に絶え間なく響き渡っています。その音量たるや…
また、このサーキットはコースと観客席の距離が非常に近いです。
最初の観戦スポットはバックストレートの終端の辺りでしたが、時速250キロオーバーで疾走するマシンがコーナー前で急減速、そのまま右コーナーに突入していく様は間近で見ると大迫力です。

ピットガレージ

チームのご好意でピットガレージに入れて頂き、レース用車両を間近で見せて頂きました。
Audi Team Hitotsuyamaのマシンはゼッケン21番のAudi R8 LMSです。ベースのAudi R8もかなりのスーパーカーですが、目の前のマシンは正にレース専用車両で、圧倒されました。
しかし、違う意味で驚いたのはウェイト。何となくコクピットを見ると…。何とドライバーズシートに漬物石(ホームセンター等で目にする「漬物用」と書かれたヤツです。)が置かれていました。おそらく、ドライバーが乗った状態でセッティングするため、体重分のウェイトを乗せているのでしょう。確かに重量が明記されており、形も丸い為、ウェイトとして扱いやすそうです。また、体重一つで変わるセッティングのシビアさにも驚かされました。ちなみにウェイトと言えば各車両、ハンディを調整する為に「重り」を乗せます。SUPER GTではレース上位成績を重ねるほどウェイトが増える為、勝ち続けるとハンディが増していきます。このあたりの駆け引きもデータ分析のカギとなりそうです。

レースとデータ

レースをデータ分析するには当然、元になるデータが必要です。では、そのデータをどこから取得するか?
大きく考えると2つのデータがあります。一つはGPSと加速度センサー、または車体各所に設置されているセンサーからの車両内側からのデータ、もう一つはコースから計測した車両のタイム情報(自チームのタイムに加え、他チームのタイム情報も必要)、温度湿度などの気象データ等の車両外側からのデータ。これらのデータをどのように取得し、活用していくかが分析のポイントになりますが、なかなか一筋縄では行きません。タイム情報は主催者側から提供されていますが、現状、接続したPCの専用ソフト上で見れるだけで、データとして活用できる形ではありません。上位10チームぐらいのタイム差は僅差で、1秒ぐらいの範囲に10チームのタイムが並びます(テストでは1位と2位の差は0.125秒、2位と3位の差は0.059 秒… といった感じでした。)。しかも状況が刻々と変わる為、リアルタイム性も重視されます。これらの課題をどの様に解決するか、これからが腕の見せ所です。

終わりに

今回、テストに同行させて頂き、レースの雰囲気を肌で感じる事が出来ました。普段のコンサルティング業務でも現場に伺う事は非常に大切ですが、机上では伺い知れないマシンの迫力、狭いピットで奮闘されるクルーの方々の緊迫した表情などを目の当たりにし、私達も新たに気が引き締まる思いでした。一方このプロジェクトには社長・大谷の「思い出に残る仕事を!いつもいつも売上-経費=利益みたいな仕事ばかりじゃツマラナイ!」という想いも込められています。確かに、こんな体験、普通のコンサルティング会社では味わえません。今回はテストでしたが、4月からは本格的にシーズンが開始されます。
合同テストの体験を踏まえて、勝つためのレース分析へ本格的に進めていきます!