ビジネスにBIを導入するということは、ただデータを集めて見る行為には留まりません。そのデータを活用可能な洞察へと昇華することもBI導入作業の一部といえるでしょう。一企業の規模でも様々なソースからデータを集めることが容易になってきた昨今、埋もれている情報を掘り出して、現状を正しく把握する、将来の流行を予測する、などの活用も可能となっています。しかし、正しい分析知識とデータに対する理解がなければ、せっかくのデータもただの数字の羅列にしか見えないでしょう。
さらに重要なこととして、データ分析に正解はないということも覚えておかなければいけません。集めたデータの種類や、あなたのニーズによって、最適なデータ分析方法は変化します。すなわち、あなたはデータの種類についての知見を持ち、自らのニーズに対する最適な結果を出せるような分析手法についても理解している必要があります。とはいえ、便利で有効であるが故に、ほとんどのデータ分析ソフトに搭載されているような分析手法もいくつか存在します。ここでは、そういった汎用的な分析手法の中から、分析の価値を上げ、より有用な洞察を得るための5つの代表例について見ていきましょう。
量的データと質的データ: 両者の違いは?
正しいデータ分析手法を選ぶために必要な最初の一歩は、分析したいデータの種類、すなわち量的データと質的データの違いを理解することです。
量的データとは、文字通り定量的な数字を扱うデータを指します。例えば、売上の実績数値やクリック率などのマーケティングデータ、人件費データや歳入などの客観的な数値として計測できるものは全て量的データに分類されます。
質的データは比較的捉えにくく、より主観的かつ解釈に依存する類の情報です。例としては顧客調査や従業員へのインタビュー結果などの一般的に数値では測れない感覚的な情報が挙げられます。
量的データを分析する
量的データの分析は、正確な数値計測と明確な事実に基づいたデータの解釈がとても重要です。まず始めの3つとして、この量的データを分析する手法をご紹介します。
回帰分析
回帰分析は、将来や傾向の予想をする際に有効な手法です。この分析手法では、従属変数(予測したい数値)と独立変数(数値を予測するためのデータ)の関係性を計測します。予測したい数値が一つでも、その数値を予測するための要素はほぼ無限にあります。回帰分析が傾向やデータ同士の関連性を明らかにすることにより、今まで気づかなかった情報を発見することもできるかもしれません。
仮説検定
「T検定」と呼ばれる分析手法により、2つのデータ群に対する比較をする際の仮説が正しいか否かを検証することができます。この手法により、これから取り得る施策が組織に対してどのような影響を与えるか予測することができるでしょう。T検定によって2つのデータ群の間にある相関関係や、施策の裏付けとなる情報を発見することができます。例えば、より労働生産性を高めるために労働時間を増やそうとした場合、本当に両者の間に関連があるかを調べることにより、実際に施策を行う前に効果を予測することができます。これにより、効果が薄く反感を買うような施策を避けることができるかもしれません。
モンテカルロシミュレーション
計測することができない変数がある場合の予測には、確率モデリングとしてモンテカルロシミュレーションがよく使用されます。モンテカルロシミュレーションによって仮説やシナリオの検証を行う場合、多種多様な起きうる結果に対して乱数やランダム生成されたデータが使われます。この分析手法は、プロジェクトマネジメント、金融、工業、物流など、驚くほど多くの分野で活用されています。多くの可能性を検証することによって、ランダム要素が計画に対してどのように影響してくるかを知ることができます。
質的データを分析する
量的データとは違い、質的データの分析は純粋な統計手法から離れ、より主観的なアプローチを行っていく必要があります。しかし、それでも質的データから有効な情報を抽出するための手法は存在します。残り2つの分析手法として、この質的データを計測する方法を見ていきましょう。
内容分析
この分析手法は、質的データに内包される大まかなテーマを理解する際に有効です。例えば、文章などの対象データの中にあるワードやアイデアを色分けするなどして、その文章が持つ特徴を判別するなどの技法が挙げられます。内容分析は顧客のフィードバックやインタビューデータ、アンケート調査などで特に力を発揮します。この分析を行うことによって、力を注ぐべき重要な分野を特定するなどの効果が得られるでしょう。
ナラティブ分析
この手の分析手法は、企業などで行われた会議、接客などのコミュニケーション内容のストーリー(ナラティブ)やそこに登場するアイデアに焦点を当て、組織の文化をより詳細に理解することに役立ちます。この分析により、従業員の仕事に対する印象、顧客の企業に対する印象や、企業運営はどのように為されているのかといった物事の流れを把握することができます。これらの分析結果を使い、企業の体質改善や、新たな市場に対する戦略構築を行うことも可能となるでしょう。
統計分析に関しては、正しいやり方や、黄金則のような手法は存在しません。分析手法は、どのような種類のデータを集めたのかと、どのような情報をデータから抽出したいのかによって変わります。組織を改善・最適化する新たな洞察を得るためには、正確なデータと適切な分析手法をしっかりと嚙合わせることが重要だといえるでしょう。
この投稿に記載されているすべてのデータは情報提供のみを目的としており、正確ではありません。
本記事は、Sisense社の許諾のもと弊社独自で記事化しました。
https://www.sisense.com/blog/5-techniques-take-data-analysis-another-level/
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