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レース分析 – ウェットコンディション時の操作分析

大波乱の2019年 SUPER GT 開幕戦

2019年 4月13日(土)、4月14日(日)に2019年のSUPER GTの第一戦が、岡山国際サーキットで開催されました。

昨年とは変わり、Audi Team Hitotsuyamaでは、新しいタイヤメーカーとニューマシンでの初実戦ということで、期待と不安が入り混じった第一戦となりました。
土曜日に開催された注目の予選では、Q1でタイムが出ず、痛恨のQ1敗退、23位となりました。

そして、日曜日の決勝はスタートから終始雨に見舞われ、クラッシュが多発する荒れた展開となり、レースの大部分がセーフティカーと赤旗中断が占め、最終的には既定周回数を消化しないままレースは中止となりました。

そのような状況でAudi Team Hitotsuyama 21号車はクラッシュに巻き込まれることなく、23位から14位と大幅なジャンプアップを見せ、入賞こそ逃しましたがウェットコンディションでの強さを垣間見ることができました。

分析:ウェットコンディションとドライコンディションの走りの違い

2017年よりモータースポーツアナリティクスを取り組んでいますが、今まで晴れまたは曇りのドライコンディションのデータばかりで、終日雨のデータ取得はできておらず、分析チームメンバーは、雨天時のデータ分析をしてみたいとの想いを持っていました。

開幕戦決勝の終始ウェットコンディションは、私たちにとって絶好のチャンスとなり、貴重なデータを入手することができました。

ドライコンディション(以下、晴れ)とウェットコンディション(以下、雨)では当然雨の方がタイムは遅くなるのですが、分析ツールで各種データを比較するとにより、その要因をより具体的に見ることができます。

画像のグラフは、一番上から順番に、スピード、アクセル開度、ブレーキの踏み込み量、そして最後はステアリングの操舵角となっております。
そして二つの線ですが、赤線が晴れ、青線が雨の状況となります。

アクセル、ブレーキ、ステアリングの操作を比較してみましょう。

アクセル操作比較

2番目の表であるアクセル操作は、晴れ(赤線)の場合は、グラフの角度が垂直になっております。これはコーナー立ち上がりなど瞬間的に一挙に踏み込みことでいることになります。
しかし、雨(青線)の場合、角度が緩やかであることがわかりました。滑りやすいコンディションのため、アクセルワークも慎重になっており、操作が緩やかになっているためだと思われます。ただし、踏み込み量は晴れも雨も変わりがないこともわかりました。

ブレーキ操作比較

では、次にブレーキ操作。3番目の表となります。
晴れ(赤線)の場合、アクセル同様にグラフの角度が垂直かつ高さも高くなっています。これは、コーナーぎりぎりまで粘って急減速していることになります。
しかし、雨(青線)ではどうでしょうか。だいぶ前から踏んでいるのがわかります。そして、高さも低いので、コーナーに侵入する前からブレーキをかけ、滑らない程度の踏力でコントロールしていることがわかります。

ステアリング操作比較

そして最後はステアリング操作です。一番下の表です。
晴れ(赤線)の場合を、山が小刻みになっており、ステアリングを左右に振る行為であるソーイングを行っていることがわかります。
しかし、雨(青線)の場合は、線が緩やかになっていることをみると、ソーイングをしていないことがわかりました。

晴れと雨のデータ比較の必要性

このように、晴れと雨のデータを比較すると、基本的にはスリップしやすいコンディションであるため、雨の方がゆっくり緩やかな操作をしているのですが、晴れと大差がない部分もあるという興味深いデータでした。

雨と晴れで差がある部分は、グリップ力(≒マシンパフォーマンス)の指標の一つになるのではと推測することができ、今後の分析に活かせるデータとなりそうです。

分析して分かったレーシングドライバーの凄さ

今回、晴れと雨のデータを比較して、改めてレーシングドライバーの技術力の凄さに感心しました。
時速250Km/hを超えるSUPER GT300の車両を、雨天の中でも、コンマ数秒の中で状況を理解し判断する「判断力」と緩やかな操作を状況に応じて行う「適応力」は、神業に近いかもしれません。

SUPER GTシリーズ第2戦は間近

次回は、2019年5月3日~4日の「2019 AUTOBACS SUPER GT Rd.2 FUJI GT 500km Race」が開催されます。
SUPER GTでは2番目に長い500km、サーキットを110周する長丁場のレースとなっており、車両もタイヤにも負担がかかる最も過酷なレースとも言えます。
私たちは、モータースポーツアナリティクスで積み上げてきた富士の走行データを利用し、チームに新たなレース戦略に結びつくインサイトの提供をし、優勝を目指し共に戦います。